PMP

PMPとは?

プロジェクトマネジャー専門の認定資格は、PMPです。PMPとは、Project Management Professionalの略称で、プロジェクトマネジメント(PM)の手法や知識などの標準化を推進する非営利団体プロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)が認定している、PMについての国際的な資格のこと。ITに限らず様々な分野のプロジェクトに汎用的に適用できるマネジメント手法についての資格になっています。

また、PMPは、プロジェクトマネジメントに関する知識や理解度を測るための資格です。企業の生産性を高めたり、商品やサービスの品質を高水準で管理したりするには、プロジェクトマネジメントの力が非常に重要という考え方から、1984年に資格ができ普及するようになりました。

PMPを取得すると以下のメリットがあります。

PMP資格取得のメリット

  • 自身のスキルアップ
  • 自身のキャリアアップ
  • 人脈拡大の機会を得られる
  • 業界を超えて活躍できる
  • 国際的認知度がある
  • 取得後も更新が必要なため、継続的に成長できる

受験条件は?

求められる受験資格は、学歴によって異なるのが、このPMPの特徴です。

■最終学歴が専門卒、高卒の人は、プロジェクトマネジメントの経験が60ヶ月必要。また、プロジェクトを監督する立場での実務経験が、7500時間求められます

■最終学歴が大卒の人は、プロジェクトマネジメント経験36ヶ月、監督の立場でのプロジェクト業務4500時間が受験資格として必要。

※学歴に関わらず、実務経験のほかにも、公式な研修を35時間受ける必要があります

資格取得後の更新は何をしなければいけない?

PMP資格の有効期限は3年間(CCRサイクル)で、最低でも60PDU(Professional Development Units)を取得し、その報告が求められています。「CCR」(Continuing Certification Requirements Program)とは、PMP®資格更新・維持のための更新プログラムのことです。

CCRプログラムは3年サイクルです。3年毎にPDUというプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして継続的な教育と職務能力育成を目的とした継続学習を明確にするポイントが必要になります。

3年毎のPMP®資格更新には60PDUが必要となります。

また、「PDU」(Professional Development Unit)とは、承認された学習やプロフェッショナルとしてのサービス・アクティビティを定量化する計測単位のことです。1PDUは1時間に相当し、1時間を越えればPMP資格の更新時に0.25単位で申請することができます。

 PMP取得後の現場での活かし方

ここまでPMPの資格について、ご紹介しました。では、そのPMP取得後はどのように活かしていけばいいでしょうか。PMPが活用できておらず、PMがうまくいかない人には共通点があります。

・主体性が低く受け身
・思考が消極的で悲観的
・人の感情に無関心
・決断力がない
・中長期的な視点が乏しい

これらの内2~3個もっている人が、PMがうまくできない人に多い共通点です。

PMをうまく進めるためには何が必要なのでしょうか。それは、リーダーシップ能力です。決められた目標を達成するために行動管理をするマネージャーではなく、行ったことのないところでも、導くことができるリーダーこそがPMです。知識や経験も重要ですが、資格を取って終わりにするのではなく、実際のプロジェクト現場において実践することこそが、本来の目的です。何か問題が起きても積極的かつ臨機応変に対応し、常に前向きにゴールへと導いていけるように、リーダーシップをとっていきましょう。

最後に

PMPは合格率が公表されていないものの、難関と言われています。更新するためには、継続的に実務を行うことが必要なのも、その一因です。PMP取得後は実践にあたり、マネージャーではなく、リーダーとしてのマインドを持って動くことを心がけていきましょう。

プロジェクトステークホルダーマネジメント

プロジェクトステークホルダーマネジメントとは?

ステークホルダーとは、利害関係者という意味で、企業を取り巻くさまざまな人(従業員、取引先、地域住民など)のことです。

プロジェクトにおけるステークホルダーとは、プロジェクトを取り巻く関係者のことを指し、顧客や協力会社だけでなく、PMPL、プロジェクトメンバーなどがこれにあたります。そのため、プロジェクトを進める際には、多くの人員が関わってきます。

幅広いプロジェクト関係者と良好な関係を築いていくためにも、PMとして、プロジェクト管理が必須です。このステークホルダーとの関係を計画的に管理することを、プロジェクトステークホルダーマネジメントといいます。

プロジェクトステークホルダーマネジメントの実践の仕方とは?

では、実際に、プロジェクトステークホルダーマネジメントはどのようにしたらいいのでしょうか?

PMBOK(ピンボック)におけるステークホルダーマネジメントでは、プロジェクトの立ち上げから管理までプロセスに従って、実施していきます。具体的にどんなことをしたらいいのか、各プロセスに沿って詳しく見ていきましょう

①プロジェクト立ち上げ時に要素を洗い出す

まず、プロジェクトの関係者を洗い出して、ステークホルダーを特定していきます。具体的には、関係者一覧などを作成し、プロジェクトオーナーに確認しながら進めていきます。

プロジェクトの各進行タイミングで誰が関わってくるのか、ただ羅列するのではなく、役割も記載することで、全体像を正確に把握することが目的です。

抜け漏れがあると、重要な調整事項が後々追加となり、QCDへのリスクが増加しますので、業務/システムの観点で関係者を網羅できるよう、立ち上げ当初から十分に注意して進めるようにしてください。

計画を立てる

ステークホルダーに協力してもらえるようなマネジメント計画を立てていきます。その際に気を付けることは、「どのようなプロセスで進めていくかを計画できるかどうか」ということ。

そのためにも、どんなプロセスが発生するか、網羅的に把握することが大切です。

計画を実行する

作成したマネジメント計画を実行していきます。その時にステークホルダーと適切なコミュニケーションを図ることを心がけましょう。

適切なコミュニケーションとは、各プロセスに紐づけてステークホルダーに対し、「なぜ、いつまでにどんなことをしてほしいか」について過不足なく説明したうえで、プロジェクトに前向きに協力して頂くための意見や懸念事項を引き出すためのコミュニケーションのことです。

統合的に管理・監視する

最後に全体像ができあがったら、マネジメント計画の実施状況を監視していきます。

最初に取り決めた計画やルールが守られているかチェックし、想定していた計画からズレた場合は、柔軟かつ臨機応変に対応しましょう。ただし、当初計画に固執することが目的ではなく、あくまでも「プロジェクト本来の目的が達成できているか」という観点で、調整を行うことが重要です。

まとめ

プロジェクトステークホルダーマネジメントは、人数が多くなればなるほど、当然ながら難易度は高くなります。「誰がいつどのように」プロジェクトに関わるのかの洗い出しと、役割設計、実施計画をしっかり立てたうえで、プロジェクト本来の目的が達成できるよう、クライアント任せにするのではなく、あるべき方向へ導くのが、PMとしての最重要な役割であることを忘れないでください。

プロジェクト統合マネジメント

プロジェクト統合マネジメントとは?

PMBOK(ピンボック)が定めている10の知識エリアの中で、統合マネジメントは他の9つの知識エリア全体を統合してマネジメントします。

プロジェクト統合マネジメントの統合とは、インテグレーション(Integration)のことです。
つまり、全体のコーディネーションをプロジェクトマネジメントの中心で行ったり取りまとめたりするプロセス群になります。

プロジェクトマネジメントチームPMOチームは、この統合マネジメントを中心にプロジェクトをマネジメントしていきます。
具体的には、 他の知識エリアのマネジメントがしっかりなされているかの進捗管理課題管理変更管理ステータスレポートも含めて、統合マネジメントを行っていきます。

プロジェクト統合マネジメントの実践の仕方とは?

PMBOKにおけるプロジェクト統合マネジメントでは、立ち上げから終結までのプロセスに従って実施していきます。
プロジェクト統合マネジメントの各プロセスでは、どのような作業をしていけばいいのか、詳しく見ていきましょう

①プロジェクトを立ち上げる

プロジェクトを立ち上げる際には、プロジェクト憲章を作成します。
プロジェクトチャーターとも呼びます)

プロジェクト憲章とは、プロジェクトを公式に立ち上げるための文書のことです。
プロジェクトの内容が記述された文書で、キックオフで関係者の意思統一を図るためにも使用されています。
具体的には、プロジェクトの目的測定可能な目標前提条件制約条件マイルストーンスケジュール予算リスクPMの名前責任範囲を記載します。
文章量は、プロジェクトの規模によっても異なりますが、A4 1枚でおさまるものもあれば、10ページに渡るものまでさまざまです。

プロジェクトの計画を立てる

次にプロジェクトマネジメント計画書を作成します。
ここでは、プロジェクトの目標、およびそれを達成するための方法を記述していきます。プロジェクトマネジメント計画書は、プロジェクトマネジメントの意思決定の基準となっていくものになります。
この計画書に基づいて、プロジェクトの実行監視コントロール終結、すべてのプロジェクトマネジメント活動が行われていきます。

プロジェクトを実行する

プロジェクト実行の指揮をとっていきます。
プロジェクトの目標を達成するために、もろもろのタスク成果物作成などをマネジメントや変更管理を実施していきます。
この時に大事なのは臨機応変に対応するということです。
実行していく中で、もともとの予定とズレた時に調整していくための対応力が必要となります。

プロジェクトの管理・監視をする

そして、プロジェクト作業を管理し、監視しながら、コントロールをしていきます。
プロジェクトが計画通りに進んでいるかを監視し、必要に応じて対応策を行い、プロジェクト全体へ定期報告します。
必要に応じて統合変更管理を行い、プロジェクトの進行に滞りがないようにしていきましょう。

基本的には、プロジェクト計画で決められた手順でプロジェクトが進むように促し、変更要求を確認し、採用の諾否を意思決定していきますが、状況が変化することで前提が変化していくものなので、あまり当初計画に固執し過ぎず、「なぜ、何が起こっているのか」を把握し、「どうしたらよいか」について、現場の混乱を最小限に抑えつつ、修正をかけていくことも重要です。

プロジェクトを終わらせる

プロジェクトを終結させる際には、プロジェクトの成果物を確認し、完了条件を満たしているか判定し、しかるべき部署に引き渡します。
そしてプロジェクトを終結させ、最終報告を上げて終了となります。

まとめ

プロジェクト統合マネジメントは、プロジェクトの目的を果たすために、重要なものです。

各知識エリアはプロジェクト上で密接に関わり合っているため、バランスよく統合することが必要になります。
その際基準となるのは、顧客の求めるQCDのバランスです。
何か問題が起こった時には、その基準に立ち返って判断するよう、PMはプロジェクト全体をリードする必要があります。

達成すべきなのは、あくまで「目的」であって顧客の求める「到達点」です。「計画通り」進めることも重要ですが、目的を達成できているか?という観点を常に見失わないよう、気をつけてください。

プロジェクト調達マネジメント

プロジェクト調達マネジメントとは?

プロジェクト調達マネジメントは、プロジェクトマネジメントの手法を体系立ててまとめたPMBOKの一領域で、「必要なプロダクト、サービス、あるいは所産をプロジェクト・チームの外部から購入または取得するために必要なプロセスからなる」(PMBOK 第6版 P.24)とされています。

いわゆる調達管理のことです。実際に使われるケースとしては、協力会社要員開発ツールなどの調達(購入や契約)が多いです。

調達マネジメントの基礎となる3つの各プロセス群を見ていきましょう。

プロジェクト調達マネジメントの各プロセス

① 調達マネジメントの計画

マネジメント領域の他のプロセスのマネジメント方法や進め方を定義し、文書化し、プロジェクトマネジメント計画書補助計画書を作成していきます。
計画書を見ながら、外部調達するかどうかを検討し(内外製決定)、調達が必要な場合は、いつ何をどれだけ、どのように調達するのかを検討しましょう。
必要に応じて入札文書や発注先選定基準を作成し、納入候補を特定していきます。調達マネジメント計画書入札文書発注先選定基準を作成しておくと良いでしょう。

② 調達の実行

次に、納入候補から回答を得て、発注先選定基準をもとに納入者を選定し、契約を締結します。

③ 調達のコントロール

調達先との関係をマネジメントしていきます。
契約している内容どおりに責任を果たし、権利が保護されていることを確実に行いましょう。
最終的に問題が無ければ契約を終結します。

実践で活用していくには?

プロジェクト調達マネジメントを実践していくにあたり、そもそも調達管理の目的は、最適な納入者を選定することです。

調達管理では、計画段階で作成したRFPを候補先企業に配布するため説明会を実施します。そのあと提案を受けます。
この提案を受けるプロセスを納入者回答依頼プロセスと言います。そして提案書が集まったら、そこから最適な納入者を選定します。
これを納入者選定プロセスと言います。

プロジェクト調達マネジメントは、進捗管理やコストマネジメントなどと違い、問題管理ではなくリスク管理(つまり契約)が何よりも大事なのです。問題を可能な限り未然に防ぎ、問題が起きた時の対処方法を予め決めておくことが、契約締結のうえでの重要ポイントです。

契約を結ぶ際の留意点としては大きく三つです。
1. プロジェクト目的を達成できる選択であること
2. 客観的に見て納得できる評価になること
3. 責任の所在だけではなく、問題解決のプロセスを明確にすること

説明会と納入先選定

説明会と納入先の選定について、もう少し具体的に見ていきましょう。

計画段階で作成したRFQまたはRFP説明会を開催していきます。
説明会は、入札ベンダコントラクターなどさまざまな名称があります。
要件に合いそうな企業を複数選定し、説明会への参加を促し、説明会を開催します。
この時、気をつけなければならないのは、すべての企業に対して平等であること。同じ情報を伝えないと、後の選択の時に見誤るからです。

次に納入先の選定
説明会が終わり、各社からの質問に対応したら、各社から提案書が提出されます。
提案書を比較検討し、本プロジェクトに最適な納入者を決定していきます。
具体的には、評価方法契約交渉で決めていきます。
そのためにも事前に決めた評価項目、評価基準、重み付けをもとに評価し、客観性を持たせるように定量化する。

そのあと、リスク分析をして、対策の有効性を評価し、提案内容に虚偽や過大評価がないかどうかを見極めるために現地視察をするなどして最終的に判断していきましょう。
決定する際には、公正明大で誰が見ても納得できる評価をするのが理想ですが、少なくとも客観的に「なぜこの調達先を選定したのか」の判断基準を明確にすることが重要です。
その判断基準は、発注先が「何をどのくらい重視するのか」によって決まります。
うまくいかない時の責任を委託先へ押し付けるといった依存心を排除し、主体的に取り組む姿勢が何より重要であることを忘れないでください。

まとめ

プロジェクト調達マネジメントは、最適な納入者を選定することが目的なので、調達計画を具体で作成し、説明会、納入先選定を的確に行うことが大切になります。
客観的に見て納得できる判断基準を予め作れるようにしておきましょう。

プロジェクトコストマネジメント

プロジェクトコストマネジメントとは?

プロジェクトコストマネジメントは、プロジェクトマネジメントの手法を体系立ててまとめたPMBOKの一領域で、「プロジェクトを承認済みの予算内で完了するためのコストの計画、見積もり、予算化、資金調達、財源確保、マネジメント、およびコントロールを行うためのプロセスからなる」(PMBOK 第6版 P.24)とされています。
つまり、プロジェクトコストマネジメントとは、計画した予算を守るための一連の費用管理のことです。

PMとして納期を守ることはもちろんのこと、QCD(Quallity:品質・Cost:費用・Delivery:納期)のバランスを見ながら予算調整を行っていくことも重要な任務の一つです。
プロジェクトの工期を短縮させるために、人員や資金を計画当初の予定(クリティカルパス)より多く投入するクラッシングという方法でコストをかければ納期は挽回できますが、予算を超えてしまったら挽回することは難しくなります。
そのためにも、予算を超えるかもしれないという兆候をいかに察することができるかが大切になります。
まずは、プロジェクトコストマネジメントの基礎となる、各プロセス群を見ていきましょう。

プロジェクトコストマネジメントの各プロセス

プロジェクトコストマネジメントを実施するにあたり、下記プロセスで行っていくといいでしょう。

1.コストマネジメントの計画

プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書として、コストマネジメント計画書を作成します。
プロジェクトスケジュールマネジメントでも作成したWBSに基づき、作業タスク毎に人員をどのタイミングで何人登用して、いくらかかるかを、見積もりを算出していきましょう。詳しくはスケジュールマネジメントの記事をご参照ください。

2.コストマネジメントの見積もり

スコープマネジメントのアウトプットであるスコープ・ベースライン(プロジェクト・スコープ記述書、WBSなど)に要員計画などを加味して、プロジェクト・コストを見積もります。
プロセスは作業タスクで発生する資源の見積もりプロセスと強い関連性を持ちます。コストの見積もりと、見積もりの根拠を探っていきましょう。
委託先から受領した見積もりをチェックする際には、きちんと見積もり根拠を明らかにしてもらい、不明確な部分リスクを感じる部分について、事前に協議し、問題が発生した際に定点観測ができるよう、課題管理しておきましょう。

3.予算の設定

コストの見積もりプロセスで策定された見積もりとスケジュールを使って、コスト・ベースラインを作成してきましょう。どの費用がいつ、どれくらい消費されるのかを時系列に具体的に配分していきます。
このコスト・ベースラインをもとに、いくつかマイルストーンとして「チェックポイント」を設け、コストのコントロールを行っていきます。

4.コストのコントロール

そして、コスト・ベースラインと実績報告を比較して差異をチェックし、問題が発生していれば、原因を追究して改善を図っていきます。
統合管理プロセスに、必要に応じて変更要求を出してコストに対する変更をコントロールしていきましょう。

実践で活用していくには?

ここまで、コストマネジメントの基礎となる各プロセス群を見てきました。
そもそも費用管理の目的は、費用を計画範囲(予算)内に収めることです。限られた予算の中で、いかにその場の変化に合わせて調整していくかが肝となります。予算超過をタイムリに検知するには、計画段階で作成したベースライン(時系列に配布された予算)と実際に要した費用を把握することです。
そのツールとして、工数予定実績表EVT(Earned Value Technique:アーンドバリュー技法)を用いることが多いです。その際に気をつける点は以下の5点です。

  1. 予算超過のケースを想定し、事前に手を打つ(予防的対策を行う)
  2. 予算超過の兆候を管理する
  3. 予算超過をできるだけ早く検知する
  4. 多くの対応策を持っておく
  5. 予め余力がどれくらいあるか、定点観測をしユーザーとのスコープ調整の根拠として提示できるようにする

予算執行表などの管理帳票で把握しておくのもいいでしょう。直接または進捗会議にて、報告を受けるようにすることも重要です。

まとめ

PMとして納期を守ることと同等に、予算内でコスト調整をすることが大事ですが、赤字プロジェクト量産のケースが生み出されるのは、そもそものあるべきプロセスで行えていないからです。
あるべきプロセスとは、QCDのバランスで決めていくということです。つまり、PMとして求められるのは、プロジェクト全体も細部も見渡せる存在として、QCDのバランスを見ながら、進捗管理で随時状況を把握し、予算超過になりそうな兆しにいち早く気づき対策を打つコストマネジメントができることなのです。
顧客は基本的に「最高のQCD」しか求めません。
しかし、そんなものは幻想です。
限られた資源で顧客要望をいかに実現するかが、PMに求められる手腕です。PMは顧客の夢を叶える「プロデューサー」であると同時に、究極の「現実主義者」でなくてはいけません。
そのためにも、QCDのバランスを常に把握し、顧客へ提言できる状態をつくることで、「言いなり」になることを防ぎ、プロジェクト全体をコントロールすることにつながることを忘れないでください。

プロジェクトマネジメントに関するご相談はICT Solutionへ気軽にご相談ください。

移転のご案内

このたび、弊社は3月16日より下記へ移転し、業務を行うこととなりました。

何とぞご高承の上、一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

ICT Solution株式会社
代表取締役 飯島法久

移転先住所
東京本社
〒101-0047 東京都千代田区内神田1-11-11 藤井第一ビル2F

プロジェクトスケジュールマネジメント

プロジェクトスケジュールマネジメントとは?

プロジェクトスケジュールマネジメントは、プロジェクトマネジメントの手法を体系立ててまとめたPMBOKの一領域で、「プロジェクトを所定の時期に完了するようにマネジメントする上で必要なプロセスからなる」(PMBOK 第6版 P.24)とされています。

一言でまとめると、プロジェクトスケジュールマネジメントとは、進捗管理のことです。

プロジェクトを進めるうえで、タスクがどのように進行し、何が滞っていて、どう対策を打っていくかは重要なプロセスになります。
PMに求められるのは、進捗状況が「どうなっているか」ではなく、「どう対策を打っていくか」をいかにリアルタイムで判断できるかです。
ここでは、進捗管理の基礎となる各プロセス群を見ていきましょう。

プロジェクトスケジュールマネジメントの各プロセス

プロジェクトスケジュールマネジメントを実行する上で、下記の6つのプロセスは最低限抑えておきましょう。

1.スケジュールマネジメントの計画

マネジメント領域の他のプロセスのマネジメント方法や進め方を定義し文書化し、プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書を作成します。
プロジェクトマネジメント計画書とは、プロジェクトを管理するために、進捗状況やタスクをまとめた計画書のことです。その工程のひとつとして、スケジュールを管理するために、スケジュールマネジメント計画書へ落とし込んでいきましょう。
実業務では、プロジェクト計画書の一つの章として、スケジュールに対する考え方をまとめ、マスタスケジュールを作成し他のサブシステム含め共有・更新していくのが一般的です。

2.作業タスクの定義

WBSシートを使用し、作業タスクを細分化していきます。WBSとはWork Breakdown Structureの略で、作業分解図のことです。
プロジェクトを遂行するにあたり、どのフェーズで何のタスクが発生し、担当は誰で、いつまでが期限なのかを俯瞰してわかるようにまとめていきます。
その際に、スケジュール管理に適した作業単位に、タスクを細分化していきましょう。
作業タスクはスケジュールの管理単位になるだけではなく、見積もりの単位にもなります。
作業タスクリストを作成して、随時チェックしていくといいでしょう。

ここで重要なのは、MECE(ヌケモレなくダブりなく)です。作業全体を俯瞰して要素分解し、そこから個々のタスクを洗い出していきましょう。タスクのヌケモレは遅延リスクに直結します。
加えて、新たに発生したタスクは全て追記し常に更新することが、スケジュール遅延リスクを低減する王道です。メンバーには「WBSに記載していないタスクを実施していないか」都度確認し、遅延が発生している場合はどの部分が問題となっているか、リアルタイムに点検できる状態を保つよう心掛けましょう。

3.作業タスクの順序設定

各作業タスクの順序(依存関係)を考えましょう。
作業タスクの中には設計書ができないとプログラミングが開始できないように、先行するタスクが終了しないと開始できないといった依存関係があります。
作業の前後関係を明確にし、WBSに落とし込んで、作業タスクの優先順位とクリティカルパスを見極めましょう。
クリティカルパスとは、「重大な経路」と直訳されますが、要は「最長経路」のことです。
どんなに短縮してもそれ以上短縮できない作業経路は何か把握しておくことで、重要なマイルストーンまでに作業が完了するか、どのタスクが遅延すると遅延リスクが高まるか、などの判断基準となります。

4.作業タスクの所要期間の見積もり

各作業タスクを完了するために必要な期間を見積もります。プロジェクトの特徴に応じて、三点見積もり(最頻値、楽観値、悲観値の値を用いて推定する方法のこと)を使ったり、簡易的に類推見積もりを使ったりします。それにより、所要期間見積もり・見積もりの根拠を探っていきます。
重要なのは見積もりの方法ではなく、「見積もり根拠」です。基本的には十分なバッファを設けた「悲観的な数値」をもとに算定することで、遅延リスクを予め低減することができます。

5.スケジュールの作成

そして、いよいよ、これまでの作業に、組織要員計画作成の段階で考慮する資源平準化(山積み・山崩し)などを加味して、スケジュールを作成していきます。
以後、タイムマネジメントのベースラインになり、進捗が順調か遅れているかの判断材料になっていきます。ここまでの説明で、タスクと作業工数の洗い出しがこのベースラインに直結し、その精度が遅延リスクを左右することがお分かり頂けたと思います。

6.スケジュールのコントロール

最後にスケジュール・ベースラインと実績報告を比較して差異をチェックし、問題が発生していれば、原因を追求し改善を図っていきます。統合変更管理プロセスの一部として、スケジュールに対して発生した変更を実際に行っていきましょう。

実践で活用していくには?

ここまで、各プロセスを見ていきましたが、そもそも進捗管理の目的は、納期を守ることです。
限られた納期の中で、残っている業務をどう対処するかを管理するもので、これまでの業務を振り返るものではありません。そのため、下記3点に気をつけていきましょう。

  1. 進捗遅れの兆候をいち早く掴み、事前に手を打ち、リスクを低減する
  2. 可能な限り早く問題を検知し、迅速に対策を検討する
  3. 多くの対応策を持っておき、事後対策ができるようにする

進捗遅延の早期発見をするためには、進捗管理表、完了状況確認表、工程管理表などを使い、予定と実績の差から遅れを検知していきます。
また、定量的指標として、マスタスケジュール(ガントチャート、マイルストーンチャート)、各種ドキュメント(操作説明書、外部設計書など)などを活用しましょう。

また、進捗会議の場を設けて、予定と実績の差異を知ることはもちろん、チームの状態や雰囲気・モチベーションを把握することも大事。その場の状況に合わせて、変化に柔軟に対応していけるようにしましょう。

まとめ

スケジュールマネジメントと聞くと、忠実にスケジュールに沿っていくようにタスクを行っていけるようにしていくことだと思いがちですが、日々変化する状況に対して、いかに変化に強く、迅速かつ適切な判断ができるかがPMとして求められる素質になります。
業務全体を調整する、いわばプロデューサーのような役目を担うのがPMなのです。その意識を持って、実行していくといいでしょう。

日本人は失敗を嫌う傾向が強いですが、失敗を恐れ「管理のための管理」にならぬよう、「できない言い訳」のためではなく「どうやったらできるか」を考えることが、PMに重要な考え方ですので、常に「前向きに」チームをリードしていく「マインド」を持つことが大前提であることを忘れないでください。

プロジェクトマネジメントに関するご相談はICT Solutionへ気軽にご相談ください。

プロジェクトリスクマネジメント

プロジェクトリスクマネジメントとは?

プロジェクトがうまくいくか、いかないかは、リスクマネジメントができているかによっても変わってきます。プロジェクトにはさまざまなリスクが存在し、それらのリスクをどのように適切に処理できるかが問われます。
PMBOK(ピンボック)では、「プロジェクトに関するリスク・マネジメント計画、特定、分析、対応計画、対応処理の実行、およびリスクの監視を実施するプロセスからなる。」と定義されています。
つまり、プロジェクトリスクマネジメントとは、プロジェクトにおいて起こりうるリスクを、予め影響範囲の大小を見極めて、マネジメントをすることです。

ここで、リスクについて整理しておきましょう。
リスクには、純粋リスク投機的リスクと、大きく分けて二つあります。
まず、純粋リスクとは、コンピュータ障害など、純粋に損失のみが発生する可能性のことを指します。
そして投機的リスクとは、株式投機など利益と損失の両方の可能性のこと。
リスク・マネジメントでといえば、純粋リスクのみを想定しがちですが、PMBOKでは投機的リスクも含めて、リスクマネジメントするように明記されています。

リスクマネジメントの規格

リスクマネジメントには関連した国際規格および国内企画があります。

(1)ISO 31000:2009(国際規格)/JIS Q 3100:2010(国内規格)

リスクマネジメントに関する原則及び一般的な指針をまとめたもの。ISO31000の最新版は2018年版ですが、まだJIS規格には反映されていない(2018年本記事執筆時)

(2)I SO Guide73:2009(国際規格)/JIS Q 0073:2010(国内規格)

リスクマネジメントの用語を定義した規格

(3)IEC/ISO 31010:2012(国際規格)/JIS Q 31010:2012(国内規格)

リスクアセスメント技法に関する規格。略称IEC31010。dual logoの場合は、IEC/ISO31010

これらの規格は、これまで経営やプロジェクト管理、セキュリティなどさまざまな分野で独自の発展を続けてきたリスクマネジメントに対して、すべてのマネジメントに適用できるプロセス、そしてフレームワークを提供するものです。
つまり、リスクマネジメントに関する知識を身につけておけば、企業経営や情報セキュリティ分野でも知識を生かすことができます。

リスクマネジメントの定量的ツール

リスクマネジメントのやり方についてですが、詳細について語ると膨大な量になるため、概要だけお伝えします。
まず、「感度分析」「期待金額価値分析」「デシジョンツリー分析」など、定量的リスク分析で使用するツールについてです。

感度分析

感度分析とは、複数あるリスクのうち、どのリスクがプロジェクトに与える影響が最も大きいかを見る分析手法です。
どのリスクを重点的に管理するのか、優先順位をつける際に使われるものです。

期待金額価値分析

EMV=Expected Money Value分析のことで、確率論の「期待値」を使った分析手法が、期待金額価値分析と言います。
あるリスクに対して、起こりうる結果が複数ある場合に、それぞれの結果がもたらす期待と、それと同時にその結果になる確率をそれぞれ求めて、乗じて、合算した総和を求めるとできます。

デシジョンツリー分析

あるリスクに対して複数の対応策や選択肢があるときに、個々の選択肢のコスト、リスクの発生確率、発生した時の結果を算出します。
そして個々の選択肢のEMVも求めることができます。
このように作成したデシジョンツリー図を用いて行う分析手法が、デシジョンツリー分析です。

全体像を把握することがカギ

とはいえ、リスクマネジメントとは、具体的に動けるためにも、プロジェクトのプロセスとして全体像を把握しておくことがカギとなります。

プロジェクト計画時には、各工程における発生しうるリスクとその影響範囲について整理をし、考えられる対策を打てるようにしておくこと。
そしてプロジェクト実施時には、設定したリスクをしっかり監視し、発生したら計画通りに行うこと。

ただ、PMに求められる資質は、何よりも想定外のリスクが発生した場合でも、冷静に正しく柔軟な「変化に強い対応」が臨機応変にできるかどうかです。
そのための判断軸として、影響範囲の見極めが重要となります。リスクは予め対処すれば、問題が拡大せず影響範囲を最小限に留めることができます。
何かを取捨選択しなければならない場合には、この影響範囲という軸で判断するような視点を普段から持つようにしましょう。

プロジェクトマネジメントに関するご相談はICT Solutionへ気軽にご相談ください。

プロジェクト品質マネジメント

プロジェクト品質マネジメントとは?

プロジェクト品質マネジメントは、プロジェクトマネジメントの手法を体系立ててまとめたPMBOKの一領域で、プロジェクトのマネジメント成果物の両方を取り扱います。

プロジェクト品質マネジメントは、成果物の性質に関係なく、すべてのプロジェクトにおいて適用されてきます。
成果目標の最後が品質なので、品質は、納期遅延や予算超過につながる先行指標でもあります。そのため、品質確保をしっかりと行うことが、プロジェクトの成功率に直接つながっていきます。
PMBOK(ピンボック)では、プロジェクト品質マネジメントを「品質マネジメントの計画」、「品質のマネジメント」、「品質のコントロール」の3つのプロセスで行うとしていますが、ISO9001、10000といった国際標準化機構の定める規格やガイドラインとも整合性をもつためでもあります。

プロジェクト品質マネジメントの各プロセス

①品質マネジメントの計画

品質マネジメントの計画では、マネジメント領域の他のプロセスのマネジメント方法や進め方を定義し文書化し、プロジェクトマネジメント計画書の補助計画書を作成します。
つまり、品質マネジメントの計画では、品質方針の他スコープや成果物の記述書などのインプットから、品質マネジメント計画書や品質尺度へアウトプットとして作っていきます。

②品質のマネジメント

品質のマネジメントは計画を実行に移すプロセスのことです。「品質のコントロール」プロセスのデータや結果をもとに、プロジェクトの全体的な品質に関する状況をステークホルダーに示していきます。そのアウトプットとして行うのが、品質報告書の作成です。

③品質のコントロール

品質のコントロールでは、顧客の要求する品質実績報告(第三者的な視点からの監査やレビュー結果報告書やテスト結果報告書など)を比較して差異をチェックし、その差から、本来あるべき質を検証します。

実践で活用していくには?

品質マネジメントは、顧客の要求に一致する成果物を作成するために、プロセスの品質を高めるものです。
顧客ニーズに確実に見合うものにしていくためにも、目先のコストやスケジュールに捉われずに、満足いただける品質観点を忘れずに提供し続けることです。
QCDのコントロールという観点で言うと、納期とコストは予め定まっているため、「限られた期間と予算で顧客の求める品質をいかに実現するか」が、プロマネに求められる品質のコントロールです。
そのためには、先述の3つのプロセスを、計画から実行、監視・コントロールまで確実にアウトプットしていくことが大事になってきます。臨機応変に対応できるようにしておきましょう。

プロジェクトマネジメントに関するご相談はICT Solutionへ気軽にご相談ください。

PMBOK(ピンボック)

PMBOKとは?

PMBOK(ピンボック)は、プロジェクトマネジメントの原理原則として、プロジェクトマネジメントの実務ノウハウをまとめた世界基準のことで、Project Management Body of Knowledgeを略した呼称です。

PMBOKは、アメリカに本部を置く団体PMI(Project Management Institute)が発行している世界基準で、「10の知識エリア」と「5のプロセス群」のマトリックスから構成されています。このようにプロジェクトマネジメントを初めて体系化したのが、PMBOKなのです。

1976年に初版が出され、以降、約4年に一度のペースで改訂され、現在は2017年に改訂された第6版が最新版となっています。
PMBOKが提唱される前までは、プロジェクトマネジメントという言葉はあっても、体系だって説明されていなかったため、言葉の内容について認識祖語が起きていました。
プロジェクトマネジメントを、スケジュール管理のことだと考える人もいれば、原価管理のことだと捉える人もいる状態でした。
そんな状態の中、体系だって、プロセス化されているため、PMBOKは世に広まっていきました。

「10の知識エリア」と「5のプロセス群」

PMBOKを理解するには、まず「10の知識エリア」と、「5のプロセス群」を理解する必要があります。

知識エリアは、プロジェクトの最終目的である
①Quality(品質管理)
②Cost(原価管理)
③Delivery(スケジュール管理)
に加えて、そこに至るまでのプロセスとして
④スコープ管理
⑤要員管理
⑥コミュニケーション管理
⑦リスク管理
⑧調達管理
⑨ステークホルダー管理
という6項目を、さらに全体をトータルに管理する
⑩統合管理
を含めた10項目で構成されています。

次に「5のプロセス群」は、プロジェクトの最初から最後までの流れを
①立ち上げ
②計画
③実行
④監視・管理
⑤終結
という5つのプロセスに分割したものです。知識エリアとのマトリクスにより、どのプロセスで何を作成・管理すべきかということがこれで定義できます。

それに加え、知識エリアとプロセスのマトリクスだけでなく、その構成には、「入力」、「ツールと実践技法」、「出力」という3つのパートが合わさってきます。
何をもとにして、どんなツールを使ってどんな風に、何を作成するか」という内容が定義されているのです。

現場での活かし方

しかし、PMBOKを知識として学んだだけでは、実践に活かすことはできません。フレームワークとしてPMBOKを現場で活かすにはどうしたらいいのか。それは、「変動要素をいかにコントロールするか」にかかっています。
ただし、リスクや問題はコントロールできるものでもないので、リカバリープラン解決方法を予め複数考えておくことが重要です。

問題は、「早く発見し、ゆっくり解決する」のが大原則です。
直前に問題が発覚しても、打ち手は限られてしまうため、リスクとなりうるものは、できる限り早く検知し、予め複数プランを立案することで、何か起きた時の備えができるのです。

このようにプロジェクトマネジメントをする際には、PMBOKをフレームワークとして使用しつつも、「変化に強いマネジメント」が求められます。

プロジェクトマネジメントに関するご相談はICT Solutionへ気軽にご相談ください。